検診でむし歯や歯周病の「リスク」を判断し、ひとりひとりに応じた予防を行います。歯の寿命をできるだけ長くすることが予防歯科の目的です。
車には車検制度があります。タイヤやブレーキ、エンジンなどの具合を見て、悪いところがあれば修理・交換をして、安全を確保しはじめて安心して乗れるようになります。歯科の場合も、歯のメンテナンスや治療をしますが、自動車と決定的に違うのは、ご本人の歯がいちばん優れているという点です。悪くなってしまった歯を樹脂や金属に交換しても、ひとの体にとっては異物です。
いつまでも自分の歯で食べられること、笑えること、おしゃべりできることが、健康で幸せに生きる秘訣のひとつだと考えています。
定期健診にかかる時間は最低30分。健康保険が適用されないのではないかとご心配されている方もいらっしゃいますが、定期健診も保険適用の範囲内です。本人負担は3割で、費用はおおよそ3,000円。レントゲンが必要な場合は一枚につき1,000円程度が必要になります。歯石の除去は歯周病の治療として保険が適用されます。受診のタイミングは間をあけても半年に1回、できれば3か月に1回が理想です。多少の費用はかかりますが、詰め物、差し歯などの治療費よりもはるかに安く、健康な歯と安心を得られるメリットには代えられません。
子どもの場合、1歳過ぎから保護者の方が毎日、正しい歯みがきをして、習慣化することが大切です。歯みがきができるようになったら、仕上げ磨きをしてください。また、子どもの頃から柔らかい食べ物ばかりを食べていると、歯を支える骨が発達せず顎が小さくなってしまいます。そうすると狭いところから新しい歯が生えてくるので、見た目だけでなく、噛み合わせも悪くなります。
ほかにも、唾液が出づらくなるという問題も出てきます。唾液には殺菌や再石灰化作用などの効果がありますが、その量を増やすには「よく噛む」という習慣が欠かせません。当院では、こうした歯みがきや食生活のアドバイスも行っています。